第1章

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「それじゃあ、これは何か説明して貰おうか?」 そう言って、土方さんは私のバッグを放り投げてきた。 「私の鞄ですね。これが、何か?」 「惚けてやがって。中身を見たが、サッパリ分からねぇ物ばかりなんだよ。」 「あぁ…」 そりゃあ、分かる訳ないわよね… 私のお気に入りのバッグの中には… 財布、携帯電話、化粧ポーチ、煙草ケース、携帯灰皿、読み掛けの小説、飲み掛けの緑茶。 あとは 頭痛薬。 大した物は 入ってないんだけどなぁ。 「口で説明するより、見せる方がいいですよね。申し訳ないのですが、縄を解いて貰えますか? …この状況で、逃げられると思ってませんから。」 「それもそうだな。 おい、斎藤。そいつの縄、解いてやれ。」 土方さんに言われ、斎藤さんと思わしき人物が 縄を解いてくれた。 「ありがとうございます。」 「いや、副長の命だからな。」 斎藤さん…いい声してますね。 顔は、よく分からなかったけど… 「逃げようとすれば、斬る。」 去り際、私にしか聞こえない小さな囁きには 驚きましたが…
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