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「150年先だぁー?お前、頭、大丈夫か?」
うん。素直な反応だ。
「転んで後頭部を打ちましたが、至って正常に働いていると思います。強いて言えば、自分が150年も昔にいる事を認めたくありません。」
「いや、頭打ったんだろ?中身、おかしくなってるぞ……」
土方さん…
何ですか、その憐れむ目は…
「失礼ですね。残念ながら、此処は私が学校…こっちで言う、寺子屋で習ったまんまの世界ですよ。」
憐れみの眼差しを 軽蔑の眼差しで返してやる。
「大体、皆さんこそ大丈夫ですか?私が着てる物、持っている物、何一つ見た事ない物ですよね。
自分の知らない物を持つ怪し女……警戒するのは理解出来ます。
しかし、私は150年先の人間だと答えを出してるんです。突拍子もない、と一蹴せず、柔軟な頭で考えてみたらいかがですか?」
言ってやった…
自分でも、何て暴論を、とは思うけど、頭の残念な子という扱いが我慢ならなかった。
私の屁理屈に 室内の者達は 様々な反応を示す。
ヒソヒソと周囲の者と話す人
興味津々に此方を見ている人
怒り心頭で睨み付ける人
冷静に頭の中で話を組み立てる人
そんな中、腕を組み何事かを考えていた男が唸りながら声を上げる。
「うぅ…む、確かに彼女の言う通りかもしれんな。」
おッ…!
上座の真ん中から、神の声。
彼処に座ってるのは多分…
「ちょっと待ってくれ、近藤さん!」
予想的中!
やっぱり、近藤勇。
「なぁ、歳。俺には、彼女が間者には見えないんだよ。
確かに…奇抜な格好だし、刀を握るなんて奇行をしたのだが、150年先の人間なら、あり得るんじゃないか?」
そう言った彼は、眉根を寄せ 首を傾げて見せていた。
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