第1章

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場の空気が和やかになる。 次の瞬間、遠巻きに様子を見ていた人々が、笑顔で話し掛けてきた。 「良かったじゃないか。俺は、原田左之助っていうんだ。宜しくな。」 原田さんは、ミケランジェロの彫刻みたいな素晴らしい肉体美をお持ちなのに、何とも艶っぽい流し目を遣う人だ……。 「あー、左之さんばっかりズルいよ。俺、藤堂平助。宜しくな、艶香。」 いきなり、名前呼び捨てですか……。 藤堂さん、無邪気な少年って感じの人だった。この中では、弟的扱いなんだろう。 「平助。お前、さりげ無く艶香の事、呼び捨てにしてただろう? 俺は、永倉新八だ。宜しくな。」 貴方も、さりげ無く呼び捨てですよ……。 永倉さんも、原田さん並みの肉体美をお持ちです。しかし、色気より男気を感じるタイプの人です。 「そんなに捲し立てたら、艶香さんが驚きますよ。私は、山南敬助と申します。」 上座から、眼鏡を掛けた山南さんが柔らかい口調で言った。山南さんは、一見優しそうな雰囲気の人なのだが、何故か腹黒そうだと思ってしまった。
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