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「まぁ、いいではないか、山南君。こんな別嬪さんが来たんだ。浮かれもするさ。
私は、局長の近藤だ。これから、宜しく頼むよ、艶香君。」
近藤さん、貴方のおおらかさに感謝です。私の事を、別嬪とは……地味に口が上手い方です。
「本当に、美人さんですね。艶香さん、私は、井上源三郎と申します。困った事があれば言って下さいね。」
井上さん……。何ていい人なんでしょう。人の良さが滲み出た顔ですよ。皆のお父さんって感じの人だ。
「……斎藤一だ。宜しく頼む、橘。」
斎藤さん。やっぱり、落ち着いたいい声ですね。無表情ながらも、端正な顔立ちですし。……前髪が少々長くて邪魔そうですが。
「あははは……。一君、硬いなぁ。君も、艶香ちゃんって呼べばいいのに。
あっ、僕は沖田総司です。宜しくね。お馬鹿な艶香ちゃん。」
沖田さん……、何か余計なモノが聞こえましたが。満面の嘲笑を…初めて見ました。
「おら、いい加減にしねぇか。俺は、土方だ。
兎に角、お前の格好を何とかするぞ。平助、お前の着物貸してやれ。そんなに背丈変わらねぇだろ。あと、誰か、艶香の両手の手当てしてやれ。」
土方さん……。やっぱり、【鬼の副長】なんですね。皆さんの行動が速い速い。両手の事、忘れないで頂いて、ありがとうございます。
「土方さん、酷ぇ……。」
ぶつぶつ言いながら、藤堂さんは着物を取りに行った。
藤堂さん、土方さんの言う通りですよ。他の方は、皆さん長身なので私には着れませんから……。
「つ…橘、手を見せろ。」
「あっ、斎藤さん。ありがとうございます。」
「副長の命だからな。」
「はぁ……。」
斎藤さんは、土方さんの命令だと言いながら、丁寧に手当をしてくれた。
「しかし、刀を握るとは……馬鹿だな。」
……小声で毒を吐くのは止めて下さい。
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