序章

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浅葱色の羽織? 新選組の隊服……だよね?   目の前の男達の姿を マジマジと見ながら内心苦笑。 私は 自分の想像力の乏しさにガッカリした。 【五稜郭=土方歳三=新選組】 …… 安易にも程がある。 「おいっ、聞いてるのか?」 新選組其の一は、短気らしい。 怒気を含んだ声と眉間の皺から容易に伺える。 分かっていても、彼の高圧的な物言いに 私だって 多少は苛ついてくる。 「聞いてるわよ!何、カリカリしてるの? これは、私の夢だって言ってるだけでしょ。」 「君、何言ってるの?その奇抜な着物といい……怪し過ぎるよね。」 新選組其の二が 愛想笑いを浮かべながら言った。 奇抜な着物? 何の事かと自分の姿を確認すると……黒いロングコートを纏い、中には白いニットワンピースにロングブーツ。 私、着物じゃないのかよッ!? 手抜きじゃないか、私の夢ッ!! 一人悶々としていると…   カチャリ 何とも物騒な金属音が耳に届く。 嫌な予感に見上げると、新選組其の一、其の二は……私に刀を向けていた。
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