第1章

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目が覚めると、見知らぬ天井だった。 私は、コートの上から縄で縛られているみたいだ。 「おぅ、気付いたか?」 声のする方へ、首だけ動かすと、新選組其の一がいた。 よく見ると… 頭の高い位置で結わえた艶やかな黒髪 切れ長の涼しげな目元 なかなかの色男だった。 ……眉間の皺が残念でならない。 見下ろす男から視線を逸らし、恐る恐る尋ねる。 「此処は、何処ですか?」 「新選組屯所だ。」 ……やっぱりか。 何となく、そんな気はしていた。 この手の痛みからして、夢じゃない事は薄々理解していたしね… そうなれば、次に訊く事は決まっている。 「……私は、殺されるのでしょうか?」 「それを、これから決めるんだ。」 そう言うと、新選組其の一は 私を肩に担ぎ何処かへ移動する。 まるで荷物の様に抱えられる私に、抵抗する術は無い。 あぁ、私の一生も此処までか… これから決める、って言われても説得力ないんだよ。 二人共、思いっきり処刑宣言してたもんなぁ… 「はぁ…」 もう、溜め息しか出ない… 「入るぞ…」   スパンッ 着いた部屋には、数人の男が居た。 「あっ、土方さん。その子、目を覚ましたんですね。」 いの一番に響く声。 こちらに気付いた新選組其の二が、面白そうに声を掛けてきた。
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