大学生活

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学校を出るといきなり葵さんの両横に真っ黒な服を着た男の人二人組が立った。 固まっていると葵さんはその人たちに口を開いた。 「あの、大丈夫ですから」 「いえ、そう言うわけにはいきません」 「もうあたしなんて襲う人いないでしょ?あれはたまたまだったんですって」 「ですが、葵様に何かあった場合私どもが怒られてしまいます」 「自分の身は自分で守ります。今までそうしてきてたんだから。それに」 葵さんがあたしの肩を抱く。 「この子の彼氏が助けてくれたし、その人は啓の友達だって説明しましたよね?」 「ですが……」 「啓があたしの事思ってくれてるのは凄く嬉しい。でも、こんなずっと護衛なんて要りません」 護衛!? 驚いていると後ろから啓くんが歩いてきた。 その隣には稜と舜くんも。 「唯?」 「あ、稜」 「どうした?その人たちは?」 稜がそう言うと啓くんがため息をついた。 「葵のSP」 「SP!?」 もうついていけない。 訳が分からず呆然としていると芽依が口を開いた。 「ねえ葵」 「めーたん?」 「その人たちは葵を守るためにいるんでしょ?だったらおとなしく守られてなさいよ」 「え!?嫌だよ!!」 必死な葵さん。 あたしは首を傾げた。 「どうして嫌なんですか?だってSPさんが傍にいた方が安全だと思うんですけど……」 「唯ちゃん……。そりゃそうだろうけど、嫌なの」 「どうしてですか?」 「だって考えてもみてよ!!ずっとだよ!?いままで貧乏生活して来たあたしに、いきなりSPだよ!?無理!!一人になりたいの!!」 葵さんが頭を抱えて空を仰ぐ。 啓くんはもう一度ため息をつくと葵さんの頭を掴んだ。 ・
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