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ここでニコルさん!?
不思議に思うと秀くんは特に気にした様子もなく続けた。
「突然『実験台になってほしい』とか言い出すから最初は『うわ、コイツやべぇ』って思った。でもその時は正直藁にも縋る思いだったから、ニコルさんに任せてみようって思った」
「ニコルさんは彼女をどうしたの?」
「それが驚いたよ。たった二週間で彼女の顔色が良くなって。普通なら有り得ないんだけどさ。今じゃ健康そのもの」
「ニコルさん彼女に何したの!?」
「さあ?俺は『企業秘密だ』って言われてその現場を見せてもらえなかったから知らない。でも、その時かな。『この人の下で働きたい』って思ったの」
秀くんはそう言うと彼女の画像を見て優しく笑った。
本当に秀くんは彼女が好きなんだ。
「ていうか!!どこが『深刻な話じゃない』!?めちゃくちゃ深刻な話じゃん!!」
「そう?」
「そうだよ!!そもそも彼女いるのにナンパするとかどういう神経してんの!?」
「俺はしてない」
「でも釣れたらついて来るとか言ってたじゃん!!同じだよ!!浮気だよ!!」
「浮気じゃない。お前だって、彼氏以外の男に愛想振り撒いてその気にさせて振ってるじゃん」
「あたし別にその気にさせてるわけじゃ……」
「あんだけの人の前で振るとか、悪女」
「悪……っ!?違うもん!!ていうか見てたの!?」
「ニコルさんと待ち合わせしてる時にたまたま」
「秀くん性格悪い……っ」
そんな事を話しているとニコルさんと、グッタリしてる稜が別室から出てきた。
なんか稜やつれてる……。
「どうですか?ニコルさん」
秀くんがそう聞くとニコルさんは笑顔になった。
「うん、大丈夫。もう平気だよ」
「だってさ。お前もう彼氏に心配かけんなよ」
「なんであたし!?」
「お前馬鹿なの?このお前にゾッコンの彼氏があんな催眠術になんでかかったのか分からないわけ?」
呆れ顔の秀くん。
なんでこんな馬鹿にされてるんだろう……。
「お前が彼氏に心配事作るから精神不安定になってかかったんだよ。イコールお前のせい」
「うぅ……」
「ということで、もう心配かけないって誓うか?」
「誓います……」
「婚姻届書くって誓うか?」
「誓いま……え?」
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