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お墓に笑いかけて花に手を伸ばす。
「未来さんって本当にイイ人なんだね」
「うん……」
「稜の好きだった人なんでしょ?」
そう聞くと稜があたしを見た。
「え!?なんで!?」
「舜くんが教えてくれたの。未来さんを見てる稜はとーっても優しい顔してたって」
「舜……っ!!」
「舜くんに怒らないで。あたしが聞いたの。未来さんってどんな人だったのって」
舜くんは言ってた。
『とっても素敵な子だった』って。
凄く泣きそうな顔で。
本当にそうなんだと思う。
稜の中にも、舜くんの中にも、新くんの中にも未来さんは生きていた。
あたしも未来さんみたいになりたいな。
「未来さん。あたし、絶対稜を幸せにします」
「唯……?」
「未来さんみたいに強くなります。だからこれからも、稜の中で生き続けて下さい」
手を合わせて目を瞑る。
稜もあたしの横で手を合わせた。
「未来。俺、大切な子見つけた」
その声に目を開ける。
「ずっと言ってたよな。『もっと自分を大切にしろ』って。『自分をないがしろにするのは自分より大切な人が出来てからだ』って。俺はこの子の為ならなんだってする」
「稜……」
「ありがとう。きっと、唯と会わせてくれたの未来だよな?」
その言葉に涙が溢れた。
未来さん。
あたしは会ったことないけど、会えてたら友達になれてましたか?
これからもずっと側にいてくれますか?
あたしを抱き締めてくれる稜。
風が吹いた時、『幸せに』って聞こえた気がした。
大切な人を失うかもしれない恐怖。
とても辛くて、でも温かい恋。
あたしは今日も大切な人と大切な人達の側に向かいます。
「唯。愛してる」
最愛の人を、幸せにしたいから。
絡まる指がとても幸せに感じる、そんな日々を過ごしていこう_________
‐END‐
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