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昼休み。
学部ごとにお昼が違うので、あたしと芽依、葵さんは一緒に学食でご飯を食べる事にした。
「めーたん大丈夫?」
葵さんの言葉に元気なく頷く芽依。
全然大丈夫そうにみえない。
「芽依、舜くんとケンカしたの?」
そう聞くと芽依が目に涙を浮かべた。
「どうしよう……っ」
「め、芽依!?」
「めーたん!?」
泣きだす芽依にオロオロするあたし達。
芽依は泣きながら少しずつ話してくれた。
「昨日、舜に広末くんの事聞かれて……。『ただの学部一緒の人だ』って説明したの……。絶対怒られると思ってた。それなのに……っ」
「それなのに?どうしたの?」
「舜、怒ることなくただ悲しそうに笑ったの……っ。そんな顔させた事が悲しくて情けなくて……」
ぽろぽろ涙を流す芽依。
あたしと葵さんは顔を見合わせた。
ケンカしたわけじゃなかったんだ。
でも舜くんの気持ちはわかる。
芽依を責めるのは違うって分かってたからそんな顔したんだろうな。
「めーたん何も悪くないよ。広末師匠の事は放置してたらいい」
「でもまた抱きつかれたらどうしたらいいか分からない……」
「そしたらあたしみたいに飛び蹴りしたらいいよ」
「あ、葵さん。それはちょっと……」
葵さんの言葉に苦笑いする。
すると加西くんがあたし達の隣に座った。
「あれ?加西くん一人?」
「マサならいない」
「え?」
加西くんは芽依をチラッと見るとサンドイッチを頬張った。
「山崎が可哀相だろ」
そう言う加西くんに目を見開く。
「加西くん、優しいね」
「は?」
怪訝そうな加西くん。
あたしは笑顔を向けた。
「だって芽依のために広末くんを遠ざけてくれたんでしょ?」
「勘違いすんなよ。俺はマサのうるさいマシンガンから遠ざかりたかっただけ」
「だとしても嬉しい。ありがとう」
お礼を言うと加西くんはため息をついた。
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