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「ここが、これから通う大学……」
有名な大学を前にして息を呑む。
そんなあたしの肩に優しく手を置く男の子。
「唯。大丈夫」
「稜……」
あたしの彼氏、有沢稜(ありさわ りょう)。
誰もが振り向くカッコ良さ。
そして頭のいい優しい彼氏です。
でも稜はヤンキーなので……。
「チッ。舜の奴、まだかよ」
こうやって舌打ちを他人によくします。
あたし、吉岡唯(よしおか ゆい)はそんな稜とは対照的な地味な女子。
でも、そんな彼と釣り合うように頑張っている。
高校を卒業したあと、本当はフランとサリーというアメリカの美形双子の会社で働く予定だった。
でも…………
─────────────────
「大学に行きたい?」
「はい……」
あたしと稜はフランとサリーのお父様に大学に行きたい事を伝えた。
やっぱり無知では会社経営なんて出来ないから。
いくら支えてくれて、経営しながら勉強してもいいと言われていても。
「無理……でしょうか?」
そう聞くとお父様はフッと笑った。
「いや。構わない。そう思うのは自然な事だ。ウチの息子と娘が急かして悪かったね」
「いえ!!そんな……」
「唯さんと稜くん、それから芽依さんと舜くんだったかな?四人には跡継ぎとその婚約者、そしてこれから会社を興そうとしている人達が集まる大学への手続きを済ませておこう」
「え!?そんな凄い所でなくても……」
「いやいや。そこらへんの大学に君達を入れるわけにはいかない。頑張ってくれ」
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そう言われてあたしと稜、そしてあたしの親友である山崎芽依(やまざき めい)とその彼氏であり稜の幼馴染みの葉月舜(はづき しゅん)くんはこのお金持ちが集う大学に入学する事が決まった。
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