加西くん

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菜奈香ちゃんの事はとりあえず考えない事にした。 今までだって稜はいつも狙われてたわけだし。 サリーだってライバルだったけど今じゃ友達だし。 考えても何にもならないという事はちゃんと学んだ。 だからあたしは稜を信じてるし、菜奈香ちゃんと稜がどうにかなるだなんて……。 「変な顔」 「っ!?」 いきなり目の前に現れた顔に驚く。 加西くんはジーッとしばらくあたしを見ると興味無さそうに目を逸らした。 「お、おはよう、加西くん」 「おはよう。アンタ、眉間にシワ寄ってたけど」 「本当!?」 慌てて眉間を触る。 加西くんは表情を変える事無く口を開いた。 「アンタって考えてる事顔に出るタイプだよね。嘘も上手くつけないでしょ」 「なんでわかるの!?」 「単純だって言ってんだよ」 「加西くんって直球だよね……」 息をつくと加西くんもため息をついた。 「それよりアンタ。いつ俺に時間くれるわけ?」 芽依の事で加西くんにはお世話になってる。 そのお礼は加西くんにあたしの時間をあげる事だった。 「あ、それ。加西くんの都合に合わせるよ」 「ふーん。じゃあ今日」 「え、今日!?」 「なんだよ。俺に合わせるんだろ?」 「そうだけど……。急すぎるよ……」 「文句言うなら最初から言うな」 「わ、わかった!!どんとこい!!」 「なんだよそれ」 そう言ってようやく加西くんが笑った。 .
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