541人が本棚に入れています
本棚に追加
入学式をこんなに凄いところでした事が無い。
凄く広い講堂。
あたしと芽依は二階の席に座った。
見渡す限り上品な女の子や裕福そうな男の子ばっかり。
本当にすごいところなんだ……。
「ねぇ、芽依」
「何?」
「あたし、やっていけるかな……」
「弱気にならないの。それ唯の悪いところだよ?大丈夫だって。あたしもいるんだし、有沢くんも同じ大学にはいるんだから」
芽依の言葉にぎこちなく笑みを返す。
正直大丈夫ではない。
でもフランとサリーのお父様が紹介して下さったんだから頑張らないと。
小さく気合を入れると隣からため息が聞こえた。
芽依とは反対側の席。
そこには退屈そうにしている男の子がいた。
とても綺麗な顔立ち。
カッコいい人だな。
そう思っているとその男の子の隣に前髪をあげてピンで止めている男の子が座った。
「何何?どうしちゃったんですか、翔也(しょうや)様?あ、もしかしてホームシックですか?だめですよ、大学生にもなってホームシックだなんて旦那様や奥様にばれたら翔也様更に可愛がられちゃいますよー」
テンション高く話しかけている男の子。
でも話の内容的にこの男の子って、翔也くんの付き人さん?
じーっと見つめているとテンションの高い男の子と目が合った。
ハッとして固まる。
すると男の子はニコッと笑った。
「ごめんなさいね、騒がしくしちゃって」
「あ、いえ……」
「ここにいるって事は同じ学部なんだよね?俺、広末 雅臣(ひろすえ まさおみ)。ここにいる加西 翔也(かさい しょうや)様のお世話係やってます。よろしくね?」
「あ、えっと、吉岡唯です。この子は友達の山崎芽依。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる。
芽依も同じように頭を下げるけど興味なさそうだった。
そんな芽依を見て固まる広末くん。
芽依の態度にハラハラしながらあたしは芽依に小さく話しかけた。
・
最初のコメントを投稿しよう!