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啓くんが凄いお家の人だっていうのは知ってた。
この大学がお金持ちの人達の集まりである事も。
でも、だからって……
「啓くん知り合い多すぎるよー……」
教室にたどり着くまでに何人に声をかけられて立ち止まった事か。
その度に啓くんのアイドルスマイルが炸裂するのはいいの。
でも最後の方啓くんイライラしてた。
あたしは疲れて机にへばりついた。
「ここでも啓は人気者なのかっ!!」
葵さんが悔しそうに呟く。
いや、叫ぶと言った方が正しい。
そんな葵さんを見ることなく携帯をいじる芽依。
「仕方無いでしょ?そういう人と付き合ったアンタが悪い」
「だって、めーたん!!」
「はいはい。敵対してたけどいつの間にか好きになってたんでしょ?何回も聞かされたから知ってる」
「めーたん冷たいよ!?」
葵さんの叫びも虚しく響く。
あたしは苦笑いを浮かべた。
「あ!!」
突然前から声が聞こえて前を向く。
そこには広末くんと加西くんがいた。
「広末くん、加西くん」
声をかけると広末くんが嬉しそうにあたし達に近付いた。
「ねぇ、山崎さん!!」
広末くんが芽依の前に座る。
芽依は広末くんに目を向ける事無く携帯をいじり続けた。
それでも話しまくる広末くん。
そんな広末くんを見て葵さんは感心していた。
「このハートの強さ。見習いたい」
確かに、強い。
呆然としていると加西くんがあたしの隣に座った。
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