少女が変わるとき

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ねぇ 私、キレイになるから 待っててね あなたに振り向いてほしいから 一生懸命自分を磨くわ だから、今の私はまだ見ないで まだよ、もう少し… あと少し… 妖しく光る 月夜の晩に 不思議なことが 起こるのよ 私の体が あらわになるの 月の光に 照らされて 少女のヴェールを脱ぎ捨てる 見ていてね すべては あなたのため 今あなたのもとへ 飛び立つわ 羽根をひろげて しなやかに 美しく この星空を舞うの “今宵は僕と踊りましょう” ふいに、あなたからの申し出 ああ、夢みたい 憧れだったの あなたと2人 月夜のワルツ 星降る夜に 胸が高鳴る その時、何か黒い影が 私たちの間をかすめたの 嫌だ、フクロウよ――! お願い、あなた、逃げて ああ、神様 私たち、捕まりたくないの その時、私の体から キラキラと星屑のような粉が舞い出した フクロウは粉を浴びて、苦痛に顔を歪めて 逃げるように消え去ったの あなたが驚いて目を見開く 私の回りにはまだキラキラと 無数の星屑を纏っているの あなたが目を優しく細めて こう言ってくれたの “君は本当に綺麗だね”って ああ 私、幸せよ 私たちの邪魔をするものはもう何もないわ 手に手を取って 瞳を合わせ 二つの鼓動 重ねたら 光る星屑 螺旋を描いて 闇夜にタンゴ 煌めくリズム 優雅に そして 軽やかに 繋いだ手から 愛が伝わる もうそろそろ夜明けがくるわ 東の空が 白んでく 眩しすぎるの 朝の光は だから草かげに身を隠す おやすみなさい、愛しいあなた 夜のとばりが 下りるまで 今夜もここで また会いましょう 昨日より今日 今日より明日 毎日あなたに夢を見る 毎日あなたを好きになる END.
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