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「じゃあ、どこに居るんだ!?」
両手で笹木の胸倉を掴んで、詰め寄る。
家じゃないとしたらいったいどこに?
つうか、なんでコイツが知ってる?
「ナオ落ち着けって。生徒、生徒」
祐希に腕を掴まれてしぶしぶ手を離す。
教師なんてくそくらえ。
いつでも辞表出してやる。
「来いよ」
ニッと笑って笹木が背を向ける。
一瞬遅れて、後を追った。
「おい、笹木! 車出すぞ」
「あ?いらねぇよ!いいから走れ」
後ろから祐希の声と足音がして、前を行く笹木が振り向きざまに怒鳴る。
廊下は走らない、なんて教育的なことは全て無視して、階段を駆け下りる。
校庭を横切って、大道路を走って、路地を抜けて。
前を行く笹木はかなり早い。
陸上部とか言わねぇよな。
全力疾走なんて何年ぶりだ?
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