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学校を出て5分くらい。
信号にも恵まれて、止まることなく全力で走った。
足がもつれそうになったところで、とあるマンションに着いた。
迷わず入っていく笹木について、自動ドアをくぐる。
少し遅れて祐希が入ってくるのが見えた。
エレベーター。
これで少し休める。
そう思ったのも束の間、笹木はその前を素通りして……
階段かよ。
ざけんな、何階だよ。
足がぷるぷるする。
膝が笑う。
歳だな、くそっ。
何階分かわからない階段をのぼり、ようやくたどりついたドアの前。
ガチャリと開けられた中になだれ込むように入った。
「おいおい、大丈夫かよ?」
靴を脱ごうとしたら足がもつれた。
頭上から鼻で笑う笹木の声がして。
「おまっ……ら、はっ……や、すぎ」
息もたえだえの祐希が玄関にへたりこんだ。
まぁ、あれだ。
都会育ちの坊ちゃんにはこたえるだろうな。
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