9.決断のとき

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学校を出て5分くらい。 信号にも恵まれて、止まることなく全力で走った。 足がもつれそうになったところで、とあるマンションに着いた。 迷わず入っていく笹木について、自動ドアをくぐる。 少し遅れて祐希が入ってくるのが見えた。 エレベーター。 これで少し休める。 そう思ったのも束の間、笹木はその前を素通りして…… 階段かよ。 ざけんな、何階だよ。 足がぷるぷるする。 膝が笑う。 歳だな、くそっ。 何階分かわからない階段をのぼり、ようやくたどりついたドアの前。 ガチャリと開けられた中になだれ込むように入った。 「おいおい、大丈夫かよ?」 靴を脱ごうとしたら足がもつれた。 頭上から鼻で笑う笹木の声がして。 「おまっ……ら、はっ……や、すぎ」 息もたえだえの祐希が玄関にへたりこんだ。 まぁ、あれだ。 都会育ちの坊ちゃんにはこたえるだろうな。
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