9.決断のとき

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「……先生? 間宮先生も」 なんとか祐希をひきずりあげて廊下を進むと、驚いたような顔が近づいてきた。 初めて見る顔だったが、こいつが西園寺なんだろう。 笹木とは対照的に、ずいぶん心配そうな顔で駆け寄ってきた。 「大丈夫ですか? あ、水持ってきます」 なんか、いいやつだなぁ。 後光が差して見えるよ。 西園寺が持ってきてくれた水を飲み、リビングに座り込む。 ほんと、座り込むって表現がぴったりだ。 なぜってこの部屋、椅子が一つしかない。 だだっ広いリビングに、テーブルが一つと椅子が一つ。 空いたスペースにラグが敷かれていたから、とりあえず皆でそこに座った。 なんなんだ、この部屋。 生活の匂いが全くしない。 「こんなところで一人暮らし……つか、一人暮らしだなんて聞いてないぞ」 呼吸の整った祐希がぶつぶつとつぶやいている。 西園寺がざっと説明してくれたところによると、両親と不仲で一人暮らし。 聞いてねぇ。
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