9.決断のとき

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「おーい、ナオ? ナオ、ナオ?」 立ち上がった俺のズボンを、祐希がくいくいっと引っ張ってくる。 うるせぇ。 止めるな。 西園寺が知っていること全部話してくれた。 聞けば聞くほど腹が立って、何も言わないあいつにも、知らずに笑ってた自分にも、ほとほと愛想が尽きた。 一発ぶん殴らなきゃ気が済まねぇ。 自分で自分をってどう殴るんだ? ケンカには無縁だったからわからないな。 祐希、一発殴ってくれないか? 無理か、教師だしな。 生徒もいるし…………ん? 居たじゃねぇか。 「笹木、一発殴れ」 俺のこと嫌いだろ? 憎んでるよな? さあ、殴れ。 「あ? なんで俺が」 さーさーきー! 肝心なときに役に立たないな。 俺にムカついてないのか? 「藤沼はおまえにはやらない。俺が貰う」 ほら、殴れって。
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