6627人が本棚に入れています
本棚に追加
/285ページ
「おーい、ナオ? ナオ、ナオ?」
立ち上がった俺のズボンを、祐希がくいくいっと引っ張ってくる。
うるせぇ。
止めるな。
西園寺が知っていること全部話してくれた。
聞けば聞くほど腹が立って、何も言わないあいつにも、知らずに笑ってた自分にも、ほとほと愛想が尽きた。
一発ぶん殴らなきゃ気が済まねぇ。
自分で自分をってどう殴るんだ?
ケンカには無縁だったからわからないな。
祐希、一発殴ってくれないか?
無理か、教師だしな。
生徒もいるし…………ん?
居たじゃねぇか。
「笹木、一発殴れ」
俺のこと嫌いだろ?
憎んでるよな?
さあ、殴れ。
「あ? なんで俺が」
さーさーきー!
肝心なときに役に立たないな。
俺にムカついてないのか?
「藤沼はおまえにはやらない。俺が貰う」
ほら、殴れって。
最初のコメントを投稿しよう!