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ため息を一つ吐いて、眠る藤沼のほうを見た。
布団をかけていてもわかる。
子供のように小さく丸まって眠っているのが。
まるで自分で自分を抱きかかえているような。
泣いて……ねぇよな?
そっと膝をついて覗き込む。
大丈夫、だろう。
泣くわけねぇか。
こいつの泣き顔なんて想像つかない。
いつだって笑っていたんだから。
無理やりにでも笑っていたのは、俺のせいか。
西園寺に聞いた話を思い出し、ため息が漏れた。
ベッドを背に床に座り込む。
中学生のときに会っていたなんて、んなの覚えてない。
フリースクールのボランティアって言われても、ピンとこなかった。
そりゃそうだ。
あれは俺にとってはアルバイトだったんだ。
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