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机の上に置かれた写真立て。
立ち上がって近づいて、手にとって固まった。
な、なぜ、これが……
フッと意識が遠のきそうだった。
俺の消し去りたい過去が!
末代までの恥が!
こんなところに……
そういえばあのクリスマス会、集合写真なんか撮ってたよな。
後で祐希にもらったけど、速攻その場で破り棄ててやった。
他の人は持っているかもしれないが、自分の目に触れることがなければそれでいい。
記憶から抹消してしまえ。
そう思っていたのに。
また見る羽目になるとは、何の因果だ。
くそっ、藤沼め。
悪態つきながら写真を眺める。
あいつはどこだ?
さすがに写真を見たら思い出すだろう。
ほんの四年前の話だしな。
藤沼、藤沼っと…………
……いない。
あれ?見落としたか?
端からきっちり、一人ずつ見ていく。
絶対にあり得ないけれど、女の子まで確認した。
それはもう、指差し確認だ。
なのに、いねぇ。
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