9.決断のとき

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「うん、わかってる。いいんだ、それでも。 俺、センセー好きだから。教師と生徒でもいいからそばに居たい」 真剣なまなざしとともに笑顔で言われて、心が揺れる。 俺は教師なんだよな。 けじめのラインってどこなんだ? 生徒と付き合うのってやっぱマズイだろ。 PTAとかうるさそうだし。 私立だから、生徒数が経営にも関わってくるしな。 迷惑かけるわけにはいかないか。 藤沼か、教師か…… どちらを取るかと言われたら……決まっている。 「おまえはどうしたい? 俺と、どうなりたい?」 あぁ、なんだ。 もう答えは出てるじゃないか。 「俺は、センセーと付き合いたいよ」 俺にしては珍しく。 あっけないほどあっさり決まった。 明日、家に帰ったら、書くかな……退職願。 「奇遇だな。俺も同じだ」
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