10.終わりよければ全て良し?

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土曜は昼まで一緒に過ごして、家に帰った。 帰ると言ったら藤沼は、一瞬だけ寂しそうな顔をしてから、笑顔を作った。 俺の前では無理するなって、これからきっちり教えこまねぇとな。 「やることあるから今日は帰るけど、明日の朝、遊びに来い」 作り笑いの頬をつまんでそう言ってやると、今度は本物の笑顔になる。 うん、それでいい。 そうして日曜もまったりと過ごし、明けて月曜日。 俺は今、理事長室の前にいる。 隣には藤沼、胸ポケットには書きたての退職願。 ヨシ、行くぞ。 「失礼します」 ノックをして扉を開ける。 中に居たのは理事長と、校長と教頭に、正副担任。 一番末席に立つ祐希と、視線が合ったから小さくうなずいた。 「おはよう。間宮先生、藤沼君。気持ちは決まったかね?」 大きな机を挟んで、理事長の前に立つ。 それにしても高そうな机だな。 スーツも腕時計も高級品みたいだし、これであの腹がなかったらなぁ。 そこそこ素敵なおじさまだろうに。 残念だ。
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