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「気持ちは変わらないの?
そう。じゃあしょうがないねぇ」
封筒を机に置き、何やら紙を取り出した。
「ここサインしてちょうだい」
差し出された紙の最下部。
署名の欄を指差して、ついでにペンも渡してくれる。
何の書類だ?
退職のか?
書類にはびっしりと文字が敷き詰められているが、理事長の腕が邪魔をして読めない。
中身もわからずサインをするのは避けたいところだが、まぁいい。
まさか借金の保証人ってこともあるまいし。
「書けました」
ペンを置いて理事長を見る。
もともとにこやかな顔つきが、にんまりしたのは気のせいか?
いや、違う。
気のせいじゃねぇ!
「捺印は後でいいからねん。
はい、校長。この紙、なくさないでねぇ」
俺の署名入りの書類が、理事長から校長に手渡される。
温和な校長の顔にも笑みが浮かんで。
だから、なんなんだ、その書類!
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