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週末、狭い部屋に男が三人。
何をしているかというと、俺の引越しだ。
理事長の強引なペースに負けて、藤沼と一緒に暮らすことになった。
うん、いいんだ。
学校も近いし。
家賃もいらねぇし。
ただ……
「ナオが同棲かぁ」
だから違うって!
「……同居だ。保護者代わりだよ」
「建前はな。そっかそっか、藤沼と同棲か」
こいつら……絞めていいか?
いいよな。
「さっさと手ぇ動かせ! おまえらが手伝うっつったんだろ」
2月下旬。
時期も時期だけに、引越し業者もなかなか空いていない。
どうすっかなぁと思っていたら、手伝ってやるよというありがたい申し出があった。
持つべきものは友達だ!と思った俺がバカだった。
手より口ばかり動いていて。
おまえらは話し好きの女子高生か!
井戸端会議中の主婦か!
「しゃべってねぇで、さっさとベッド分解しろよ。コタツもな」
二人の尻を叩きつつ、それでも男三人けっこうあっさり片付いた。
祐希が借りてきてくれた軽トラに荷物を積んで出発。
……5年住んだアパートだしな。
ちょっとは名残惜しいかも。
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