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などと感傷にひたるヒマもなく、うるさい二人に連れられてやってきた藤沼の家。
あいかわらず広いわ。
おまけに殺風景すぎる。
「うわぁ、みごとに何もないな。こんなとこで一人なんて寂しすぎるだろ」
リビングにダンボールを積み上げて、真人が言った。
やっぱ皆、思うことは同じだな。
「ナオずっとここ住めよな。
……いいよ、二人暮らし」
真面目な顔から一転、幸せそうな笑顔に変わる。
真人がいなかったら、真人が男と付き合っていなかったら。
俺が藤沼と付き合うことはなかったと思う。
真人と早坂さんを見ていて、なんていうか、幸せそうだなって思った。
世間体とか当たり前ってやつに縛られずに、一緒に居たいと思う人と一緒に居る。
ただそれだけのことなんじゃねぇかって。
そう思うようになった。
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