10.終わりよければ全て良し?

16/29
前へ
/285ページ
次へ
冷蔵庫からお茶を三本取り出して部屋に戻る。 ドアを開けてみれば、床に寝転ぶ男が二人。 「疲れたぁ」 そりゃあ疲れるだろうよ。 手の三倍は口が動いていたからな。 「あ、そうだ。忘れてた」 ほい、ほい、とお茶を渡すと、真人がいきなり動き出す。 相変わらず自由だな。 「はい。引越し祝いー」 にっこにこの笑顔で渡された紙袋。 なんか嫌な予感しかしない。 「どうも…………」 いちおう礼を言いつつ、茶色い袋を受け取った。 中を覗いて固まることしばし。 うん、これはあれだな。 「持って帰れ! ボケ!」 文字通り叩き返してやった。 紙袋に入っていたのはなんだ。 ほら、大人の必需品? 「なんで?いるだろ」 「いらねぇよ」 再度突きつけられたものを押し返す。 真人と俺の手の間で、紙袋ががさがさと音を立てた。 「何だよ、それ?…………ぁあ」 奪い取って中を覗いた祐希が、納得したように返してくれた。 もちろん俺に。 だから、いらねぇって!
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6631人が本棚に入れています
本棚に追加