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冷蔵庫からお茶を三本取り出して部屋に戻る。
ドアを開けてみれば、床に寝転ぶ男が二人。
「疲れたぁ」
そりゃあ疲れるだろうよ。
手の三倍は口が動いていたからな。
「あ、そうだ。忘れてた」
ほい、ほい、とお茶を渡すと、真人がいきなり動き出す。
相変わらず自由だな。
「はい。引越し祝いー」
にっこにこの笑顔で渡された紙袋。
なんか嫌な予感しかしない。
「どうも…………」
いちおう礼を言いつつ、茶色い袋を受け取った。
中を覗いて固まることしばし。
うん、これはあれだな。
「持って帰れ! ボケ!」
文字通り叩き返してやった。
紙袋に入っていたのはなんだ。
ほら、大人の必需品?
「なんで?いるだろ」
「いらねぇよ」
再度突きつけられたものを押し返す。
真人と俺の手の間で、紙袋ががさがさと音を立てた。
「何だよ、それ?…………ぁあ」
奪い取って中を覗いた祐希が、納得したように返してくれた。
もちろん俺に。
だから、いらねぇって!
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