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「……何騒いでんだ? うるさいぞ宮下」
うぉお!天の助け。
神様、仏様、早坂様だ。
「なんだコレ?」
俺と真人の間でぐしゃぐしゃにされていた紙袋。
止める間もなく、早坂さんの手に渡ってしまった。
「……宮下」
ちょっと、これはヤバイんではないでしょうか。
なんつうか、声が低いんだけど。
空気凍ったし。
天使が来たと思ったら、一瞬で悪魔とか。
笑えねぇ。
「あ、先輩、その、それ……」
途端に真人が慌てだす。
そりゃあ気まずいだろうよ。
あわれな奴。
「ナオにあげようと思って。ほら、引越し祝い。いるでしょ?」
慌てふためいたかと思ったら、一転して開き直りか?
胸張って得意気に言わないで欲しい。
お願いだから早坂さん、そいつごと持って帰ってくれ。
俺の願いが通じたのか、くるりと振り向いた早坂さん。
無言で近づいてくると耳元でそっとささやかれた。
「あいつバカだけど、言ってること間違ってないから。取っといて」
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