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俺の背後をのぞきこもうとする藤沼をなんとか交わす。
やばいやばい。
これ、なんとか隠さねぇと。
笑顔を作りつつ、ほんの少し後ずさる。
ふっと手の中が軽くなって振り向くと、祐希が袋を持っていた。
ナイス祐希!
そのままどこかに隠して…………って、アホかぁ!!
「何渡してんだよ! ぁあ、中見るな!」
ほっとしたのも束の間、事もあろうに祐希の奴、ほいっと紙袋を渡しやがった。
釣られて中をのぞきこんだ藤沼が、一瞬首をかしげてから固まる。
……うん、何かわかるよな。
高校生だしな。
見たことくらいあるだろうよ。
使ったことも、ある、かもな。
「な、な、な、何これ? え? なんで? センセー」
あたふたと周りを見回す藤沼の視線が、俺のところで止まった。
俺じゃない!
断じて俺が買ったんじゃない!
「あ、それナオの引越し祝い。使ってねぇ」
ブンブンと首を振る俺の後ろから、明るい声が響く。
真人、だから高校生なんだってば。
頭痛ぇ。
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