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「……使ってって、え、俺、そんなことっ」
しばしの沈黙の後、ボンッと火がついたついたように真っ赤になった。
耳まで赤くした藤沼が、泣きそうな顔で俺たちを見る。
袋を持った両腕をめいっぱい伸ばして、困り果てていた。
あぁよかった。
こいつはまともだ。
これが高校生の反応だろう?
でもな、その顔はやめてくれ。
俺に助けを求めるな。
今ここで、こいつらの前でその袋を受け取る勇気は俺にはない。
だってほら、二人で使いますって感じだろ?
使わねぇけど、今はまだ。
でもまぁ、いずれは……っつうか。
違う、違う。
そういうことは考えるな。
「そろそろ帰るぞ。祐希君も、お邪魔だから…………これ預かっておくね」
するっと動いたのは早坂さんで、藤沼の手から自然な流れで紙袋を持ち去っていく。
そのまま真人と祐希を連れて部屋を後にして、パタンと音を立ててドアが閉まった。
残されたのは俺と藤沼、ただ二人。
それとかなり気まずいこの空気。
どうすんだよ、オイ。
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