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数回会ったことのある祐希の彼女を思い出す。
コイツにはもったいないほどの、優しくて穏やかで気立てのいい女性。
なんで祐希の毒牙にかかったんだとかわいそうに思っていたが……
真千ちゃんのほうからのご指名だったとはね。
「んじゃ、もう、カンペキじゃん」
嬉しそうにはしゃぐ藤沼。
あぁ、うぜえ。
つうか……、苦しい!
「離せ、クソガキ」
ぐわんぐわんと揺さぶられて、ついでに首を絞められた。
落ちるぞ、マジで。
「ごめんっセンセー。大丈夫?」
喉に手をあてて、おおげさに咳き込んでやったら、慌てた藤沼が覗き込んできた。
背中をさすってくれながら、心配そうに見てくる顔が、なんつうか、子供のころ飼っていた犬を思い出させた。
叱られてしょんぼりしている時のクロに、よく似ている。
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