3.ひと月だけの恋人

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翌日、校内で藤沼に会うことはなかった。 もともと2年生の授業は持っていないし、授業のないときは職員室にいるし。 意図を持って近づかない限り、会うことなんかないだろう。 4時限目が終わって、職員室に戻ったら、祐希からの伝言が机に張り付けられていた。 『昼飯持って俺の部屋へGO』 男くさい文字と、やけにかわいいパンダ柄の付箋がミスマッチだ。 しかも、俺の部屋って…… 完全に私物化してやがる。 剥がした付箋を丸めてゴミ箱に落とし、パン屋の袋を掴み上げた。 むかったのは、化学準備室。 今日はお気に入りのパンが買えたから、昼飯が楽しみで仕方が無い。 鼻歌まじりにドアを開けて、驚いた。 生徒がいる。
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