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「ラブ~、ラブリーどこだ~」
俺、森三郎は愛犬であるラブリーを絶賛捜索中である。
いつもならリビングのソファーで、気怠そうに寝転がっているゴールデンレトリバーのラブ一歳八ヶ月の女の子。
とある理由から片田舎の庭付き平屋2LDKの中古住宅(リフォーム済)で一人暮らしの俺の、ただ一人の家族であり大事な娘でもある。
そろそろご飯の時間であるのだが、いつもならご飯の時間には自分からおねだりに来る筈のラブが、彼女の定位置であるリビングのソファーに居らず、狭い家の中を捜すも姿はない。
家の中には居ないと断定し、サンダルをひっかけ広くはない庭へと出てみる……
「んん゛っ?なんで階段?」
玉砂利を敷いただけの飾り気のない狭い庭、そのど真ん中に見覚えの無い階段……
どうやらそれは地下へと続いているようだ……
しかも、そこから聞こえてくるのはどうやら愛犬ラブの吠える声。
何故、ここに階段が在るのか?
何故、その奥から愛犬ラブの吠える声が聞こえるのか?
わからないが、ラブはこの階段の先に居る、それは確実のようだ。
俺は一度家へと戻り、懐中電灯を手に持ちサンダルから愛用のトレッキングシューズへと履き替える。
ラブの声の具合から、その階段は随分と深いと予想し、流石にサンダルは無いな、との判断からだ。
庭の階段へと戻り、さっそく中へと降りていく。
入り口こそ人一人がやっと通れるぐらいだったが、降りるにつれ広くなっていく……しかも深い。
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