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さてどうしたものか……
吠え続けるラブに、見えない壁を抜けられないスケルトン。
此方へ戻る際に、異世界を救った時の俺の力は、身体能力以外は返してしまった。
まぁ……身体能力については、今の世界からみると異世界は下位世界らしく、向こうではそれこそ身体一つで無双が出来た。
向こうの世界で培った戦闘技術を抜けば、此方へ戻った俺の身体は、一般人よりは少し上程度。
武器の一つでも有ればスケルトンの一匹や二匹、どうにでもなるとは思うが、流石に素手で魔物に向かうほど、俺は無鉄砲じゃない。
そんな事を考えていると、我慢しきれなくなったラブが、スケルトンへと突進。
所謂頭突きをかまして倒してしまった……
スケルトン弱ぇ……
「ラブ、お前が強いのかスケルトンが弱いのかわからんけど、あんまりむちゃはしてくれるなよ?」
「ワフッ!」
俺の心配をよそに、ラブはどこか誇らしげに返事をする。
仕方ないなぁ……そう思いつつ、ラブの頭を撫で、
「帰ろうか、飯の準備も済んでいるし」
と、まだ興奮気味のラブを諭し、スケルトンの居た場所を見る。
そこには、スケルトンが持っていたボロボロの剣が在った。
刃渡り80センチ程の刃こぼれだらけの、剣としては機能しないだろうそれ。
気が付けば俺はそれを拾っていた。
その時は深く考えず、それを持ったままラブを連れて階段を昇るのだった。
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