実験2 【王女という存在】

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「あの夕日は 闇に飲み込まれまいと 身を必死にもやしているのだろうか」 須佐之男が マンダラの縁に 腰掛けながら 気弱そうに呟いた 「いいや 闇をも包もうとしているんじゃないか」 対して 悪魔は腰に右手を当て 自信満々に答えた 「お前の妻は闇に 取り込まれなんかしないだろ お前が最大の闇なのだから」 須佐之男はそれを聞くと 噛み締めるように頷き それから 夕日をまっすぐに見据えて 立ち上がった 悪魔には その時少しだけ 夕日が輝いたように見えた 「「よし、出発だ」」 ちょうどその頃 根の国の西端 「おい止まれ? そっちには 行ってはならグアァ! 何という暴れ馬だ」 ズシャァァ バキ 王女を乗せた馬車が暴走 近衛隊の精鋭の必死の制止も かなわず 根の森へと入って行った 十分ほど前 「グアァァァ」 「ジェェェ」 「ウホッ」 様々な方向から 禍々しく強力な 呪力をもつモノが根の森へ 入って行った 勿論、二つの異能のせいである 強大な呪力に引き寄せられたのである
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