壱章-模擬戦-

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 そうこうしているうちに早くも職員室前に着く。 「もうドア開けるぞ、静かにな」  政人がドアノブに手を掛ける。 「失礼します」  政人が礼儀良く入室し、その後を愛里、優輝の順で続く。 「お、やっと来たか……」  職員室に入ると、教員用の机が数個並べられている。  教師が座っている席があれば、授業から帰ってきてないのか空いている席も目に入った。  声のした右側に視線をずらすとそこには十六夜が椅子に深々と腰を掛けていた。 「説教……ですよね?」  優輝が恐る恐る聞く。 「春風、説教は今度に繰り越しだ。  それよりも来月の話をする。  ――お前ら3人には政府直々に要請が来てる、その話は前にしたよな?」 「「「はい」」」 「なら話は早い。  日程がしっかりと決まったらしい。  ……え~と、来月第2週の木曜日だそうだ。」  十六夜は、手に持つメモを見ながらつげた。 「日が昇ると同時に仕掛けるため、前日には星を出て、この星には居ないらしい」 「わかりました。」  と、そこでふと疑問が脳裏に浮かんだ。 「明日の模擬戦は俺達出ますか? それとも、政府の本部に移動ですか?」 「その事なら大丈夫だ、今回はあくまで人質解放の為に向かう。  戦いが起こらない訳じゃないが……なるべく避けて通る様になってるらしいから、移動は1週間前だそうだ。」  十六夜の答えに納得いき、首肯してみせる。  横をみると、愛里も政人もそれぞれ「わかりました」や「了解、こよみちゃん」と反応していた。
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