壱章-模擬戦-

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 寝起きの気分はそりゃ最悪だった。  心地良く眠っていると言うのに、頭にコツコツ、と3回小さな衝撃が響き、強引に夢の世界から戻される。  机に突っ伏した体を起こすと、そこには白いチョークが3本転がっていた。  目の前の状況から考えるに、このチョークが頭に当たっていたのだろう、と優輝は思考を巡らせる。  ――せっかく良い夢を見てたのに……。  優輝はしょぼしょぼする目を擦りながら、声を絞り出した。 「……先生、チョークは汚いです」 「お! 起きたか春風(はるかぜ)。 なんだその声は? まるでゾンビだな。 ……寝すぎだ」  腕を組み、そう優輝に告げる女教師――十六夜(いざよい)こよみ。 「何が、"チョークは汚いです"だ。 寝てるお前が悪いんだ。制裁だ! そんな事もわからんとは……あれか? バカなのか?」  十六夜はため息をつき、悩ましげに髪の毛に手をやった。
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