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「バカとは失礼な……これでも親には、やれば出来る子だ。バカ何かじゃないさ。って言われて17年間育てられたんですよ?」
「いや、その発言こそが、自分はバカです。と言っている様じゃないか?
何が"やれば出来る子"だよ、何一つやってないだろ……」
やれやれと十六夜は腕を組み直した。
そんな2人のやり取りを見ていたクラスメイトの間で、小さなざわめきのようなものが聞こえ始めた。
「出た! 即席コント」
「春風君もよくやるよね」
「今月何回目だ?」
多くが、この光景を楽しむ声だった。
「お前達静かにしろ。これは見せ物じゃないんだぞ。 それに、授業中だ」
教室全体に向け十六夜が注意するも、教室は静まらない。
「春風、お前のせいでまた授業が潰れてるだろ。 お前を起こすと毎回こうなる……。」
「なら寝かせてください」
ほんの少しの出来心でバカにすると、顔の直ぐ横をチョークが目にも止まらぬ速さで過ぎ去った。
「何か言ったか?」
――刹那。
殺意を肌でヒシヒシと感じた。
「お前は授業終りに私の所に来るように。 ――異論は認めん。」
「は、はい……」
素直に返事をする。命を狩られたくなかった。
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