壱章-模擬戦-

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「……はぁー……」  優輝は長く重たしげなため息を吐き出した。  十六夜との口論に終止符がつき、静けさを取り戻した教室内、呼び出しが決定したことにより、気が重くなる。  諦め、睡眠を忘れて授業を真面目に(聞き流すだけなのだが)受けようと黒板に目をやった。  すると、いつもは授業中寝ているため、休み時間の落書き以外の用途で必要としない黒板に書かれた、ある一文が目に入った。 『第5区域消滅』  これは、この星の住民の心に残る、一生受け継がれていく一番大きな大事件を指す。  ――150年前、この星に住む人々の先祖は『地球』と言う名の星に住んでいた。  先祖達は、科学を中心に生活を進めていたため、科学技術は高まる傾向にあったが、『地球』からは自然が減り続け、どんどん汚れた星へとなっていった。  そんな『地球』に嫌気が差した科学者は、他の星に移り住む技術を身に付けた。  そして、『地球』から逃げる様に他の星へと移り住んだ。  その際できた新たな星(国)の1つが優輝達の住む『シエル』だった。
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