壱章-模擬戦-

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 十六夜が教室を出ようとドアに手を掛けた所で「忘れてた」と振り返る。 「春風、職員室までこい。  それと無学(むがく)と伊原(いばら)の2人も頼む、来月の事で2人に話がある」  告げて教室を出ていった。  すると優輝の後方から2人の男女の声が耳に届いた。 「また居眠りで呼び出しかよ? バカだな~。  せめても起きとけよ~」 「ね~。やっぱり優輝バカなんだよ」  言って優輝をバカ呼ばわりしながら親友、無学 政人(まさと)はワックスで綺麗に整ったショートヘアーを気にする様子で右手で触りながら近づく。  政人と優輝は1年生の時から同じ寮で暮らしている内に仲良くなり、親友と呼べる程になった。  そして政人の少し後ろを、色素の薄い白い綺麗な肌の少女、伊原 愛里(あいり)が、髪の毛をふわふわと揺らしながら歩く。  彼女は、2年生になってから優輝、政人と出会いそれからと言うもの「この3人で居ると楽しい」と、いつも一緒に行動する様になった。 「バカにすんなよな」  あきれた様に言うと、「先生の所いくぞ~」と席を立ち、2人の間を抜けて歩き始めた。 「あ、優輝まってよぉ」  愛里の言葉を合図に、政人と愛里も足を動かし、優輝の横に並ぶ。  そして、3人で話しをしながら職員室へと足を進めた。
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