たとえば君が想うとき

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 どうか。僕が隣にいなくても、君の涙が乾きますように。  どうか。僕が隣にいなくても、君の笑顔が続きますように。  そうやって君が精一杯生きてくれますように。そう願わずにはいられない。そのためなら、君の隣に居るのが僕以外の人だったとしても、僕はそれで構わないから。  本当は死ぬほど嫌だけどね。君にはたくさん楽しいことを教えてもらったから、一つぐらい我慢してみせるよ。  ああ、やっぱり僕は君の店が好きだ。この島が好きだ。けどその二つの好きを合わせてもまだ足りないくらい、君のことが大好きだ。  すごいな。僕にも胸を張って誇れるものが出来たよ。きっと誰にも負けないこと。あの日君の手を握ったそのときに、僕の全ては始まったんだ。よろしくお願いします、店長と。そう言った僕はどんな顔をしていたんだろう。  でもね。君の真っ黒のワンピースが、またパステルカラーに変わるとき。バレッタがレース柄に変わるとき。今度はきっと、君の世界が変わるから。
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