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すると、1匹のハエが首筋を伝い、顔にたどり着く
そしてそのハエは顔を少し徘徊すると、やがて口の中に入ってきた
無意識のうちに口を閉じてしまう俺
ハエは口の中の唾液に足を取られたのか、あまり動く様子はなかった
恐る恐る舌でハエを探ると、舌先にハエの感覚を掴むことができた
俺は器用に舌先でハエを掬うと、その舌先を上の前歯に擦り付けた
ほのかに広がる土のような香りと、ザラザラと感じる少しばかりの砂っぽさ
大きさこそ違えど、これはカマキリを食べた時の感覚をフラッシュバックさせるには十分であった
その瞬間、腹痛、吐き気、忌まわしい記憶が頭をよぎり、ティッシュを手に取りそれを吐き出した
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