そのいち

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突然で申し訳ないが、自己紹介をさせていただく。 「一年C組だった片桐 湶(かたぎり いずみ)です。部活は……一応サッカー部です。よかったら仲良くしてください」 ここまで言い終えてから僕は座る。今日は四月八日、始業式。つまりクラス替えが行われて最初の日。 クラス担任の一言により自己紹介をしていただけなんだけどね。 これで僕の番は終わり。 僕の自己紹介を気に留めてる生徒はクラスには一人もいない。……はず。 僕は脇役、モブキャラ、そんな言葉がぴったりな人間。 役に名前を付けられるならきっと『生徒C』そんな変哲もない生徒。 そんなことを考えている間にも自己紹介は終わり、担任の話も終わり。 今日は始業式だから終わるのが早いのか。 よし、帰ろうかな。 眠い眠い。 「ねえねえ!」 よし、帰ってご飯を食べたら寝ようそうしよう。 「ねえってば!!」 ……? 「もしかして君は僕に話しかけてるの?」 そう言って振り返った先にいたのはとても、可愛い、綺麗な眩しすぎる少女。 それが僕と彼女、漆原 雫(しのはら しずく)との出会いだった。
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