ハジマリ

6/7

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「運が良い。寿命を全うするだけならば、生まれ変わっても同じことを繰り返すのみ」 少し表情が陰った。だが、ものの数秒のうちに先程の挑戦的な顔へと戻った。 「選べ!罪を購い、記憶を持ったまま来世へと転生するのか…。ここで俺に殺されるか」 「なっ、何よそれ!!冗談じゃないわよ、あたしは何も――」 ビュンッ。刀が風を切った。もちろん彼女の目の前を。 訳もわからず振り下ろされた長刀に相手が本気であることが。あぁ、私は殺されてしまうのかと。 「あっ……あぁ……………」 「さぁ、どちらが良い?」 「(……怖い。あたしは……あたしは!!) ……ひ、とつだけ心残りがあるの」 震える声を絞り出すように。 言葉を、言葉を紡がなくては。 「そう。あたしの弟、……緋唯斗を、殺したのがだ、誰だか…知りたい!!」 こんな想いまでしているのだ。 それに、此処では予想出来ない事が起きる、最期の願いくらい聞いてほしい。儚い、願いを。 「あぁ、あの麻奈穂とか言う女が弟を殺したから、お前が女を殺すんじゃなかったのか??」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加