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それから二次会のカラオケに行ったけれど、全然歌う気にはなれなくて。
一時間も経たないうちに、「俺、帰るわ」と外へ出た。
足は自然とあのショップへと向かう。
まだあの店員はいるんだろうか。
見た感じ、俺より年下のように見えた。
ショップが近くなるにつれて、それと比例するように俺の心臓の音が速くなる。
たかが女一人に、心臓がこんなに反応するなんて。
こんな気持ちは初めてかもしれねぇ。
無意識に数年前のことを思い出した。
あの頃、俺は確かに茜のことが好きだった。
でもこんなに痛いくらいに心臓が活発になったことはあったか?
「……」
――いや、なかったはずだ。
そんなことを考えている間に、いつの間にかあのショップの前に立っていた。
そしてどきどきしながらその中へ足を踏み入れた。
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