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「水島……おまえ本気で言ってんのか、それ」
「かなりマジなんだけど」
「そう言うけどなぁ……あと半年もないんだぞ?」
担任の川崎が、手にしていた一枚の紙を見ながら溜め息混じりに言葉を放つ。
川崎がそう言うのも当然といえば当然の話で。
今の今までやりたい放題やってきた俺は、学校どころか親にも見離された状態だった。
こんな俺が信頼できる相手は、族の仲間しかいないと思っていた。
でもこの川崎は違っていたんだ。
みんなが避けて通りたいと思うほどの問題だらけの俺のことを心底心配して、何度も足を運びに来た。
そんな川崎を見て、こんな俺にでも親身になってくれるヤツがいるんだ、と胸が熱くなったんだ。
「じゃあ、とりあえず次の模試までにひたすら勉強しろ。その結果次第で答えを出す。それでいいか?」
「はい」
次の模試って……あと二週間か。
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