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周りをぐるりと見渡すと、これから二次会へ繰り出そうとしているようなテンションの高い集団がそこら中にいる。
“送別会”という名のただの飲み会になってんだろうなと思う。
ふと、道路を挟んで向かい側にあるショップが目に入ってきた。
今のこの街の酔っぱらいの雰囲気とは全く違って、すっげぇ可愛らしいショップだ。
そこにはカップルが次々と出たり入ったりしていて……
見た目から言えば、アクセサリーショップか?
なんて眺めていたら、小学生低学年くらいの女の子が母親と一緒にその店から出てきた。
そして「待って」と言いながらその子を追いかけてきた店員……
女の子が買った商品を持っていき忘れて、それを届けに来たって感じなんだろうけれど……
その店員の笑顔が、俺の心臓を鷲掴みにした。
言葉じゃどう言えばいいのかわからねーけど、とにかく俺の心を乱したのは確かで。
なんだろ、その表情に吸い込まれそうになる感覚……
数年前にどこかに置き忘れてきた気持ち……。
これって、一目惚れってやつじゃねーの?
しばらく、その笑顔から目が離せなかった。
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