教師

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桜は満開を迎え、ぽかぽかと春の陽気が漂い始めた四月。 俺は壇上に立ちながら、体育館に集まっているたくさんの生徒達を眺めていた。 五年前までは、状況は違えど、大勢の人間を前に声を大にして叫んでいた。 あの頃は暴走族の総長という立場だった。 けれど、この五年近く、ひたすら教師を目指して頑張ってきた。 そしてその努力が報われて、今日からは念願の教師だ。 そして今、教師として初めて生徒の前に立った。 でも、こうやって大勢の人に向かって話すというこの状況に、心臓があり得ないくらいに早く動いている。 たかが数百人の前だぞ? 族にいた頃は、こんなことザラにあったじゃねぇか。 緊張なんて言葉、俺には無縁なはずだったのに。 何で今更…… こんなんじゃ、生徒にも嘗められちまうだろ! あー、くそっ! 鎮まれ、心臓!
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