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通された個室に入ると、既に数人が集まっていた。
今着いたばかりだというのに、もう既にジョッキを手にしているテルに、相変わらず手際がいいなと感嘆の溜め息が出る。
「そういや、航。赴任先の高校が決まったんだって?」
目の前に座っているアキラが、熱燗を煽りながら訊いてきた。
「まあな」
「へー、どこに決まったんだよ」
この話を知らなかったテルは、興味深そうに身を乗り出して訊いてきた。
「母校」
「マジ?」
「ん」
母校といっても、俺と同じ高校を卒業したのはテルだけだ。
他のヤツらのほとんどは、中学が同じなだけだった。
「川崎もいるんじゃね?」
「どうだろうな。もう四年経つしな」
「つーかさ、航がセンコーなんて想像つかねぇ」
「俺も」
「俺も」
「俺も」
ここにいるヤツらが声を揃えてそう言っているけれど……
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