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【狐楽村】________
人口約100人程度で、古来より狐を祀ってきた小さな村。
要は、田舎。
「皆さ、大学どこ行くか決めた?」
学校からの帰り道、5人程度で田んぼが続く畦道を歩いていると、その中の一人、りっちゃん(本名:琴浦立夏)がふと思い立ったように話を切り出してきた。
「私は決めてないよ。小鞠は?」
「…うん?私?うーん…そうだなぁ…」
狐邑小鞠。それが私の名前。大学のことは特に考えたことがない。
将来を考えると村から出たほうが良いのだろうけど、私自身はシティー派ではなく田舎派(田舎のドロドロしたカレーが好き)だし、空気も綺麗なため出来れば此処から離れたくはなかった。
それに_________
「ちょっと、小鞠?聞いてるの?」
「へ?あ、うん。聞いてるよ!」
上の空だった私を訝しんだのだろうか。りっちゃんが怪訝そうに顔を覗きこんできた。
私が否定するようにぶんぶんと首をふると「そ、」と言って、納得したのか話の続きをし始める。どうやら、熱く語っていたらしい。悪いことをした。
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